ショーケースの猫

 
 
約一年前に投稿し、また下書きに戻して温めた文章です。
実際にペットショップにて感じたことに基づいて書いてみました。
上手く書けているとは言えないものですが自分の感性にて感じたことをを率直に表現してみたものなので、ぜひ読んで頂けると嬉しいです。
 
 
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人間界の街の喧騒の中にある、一件のペットショップに、その猫は居た。
 
 
 
まだ生後4ヵ月であるが、もう4ヵ月である。生後6ヵ月を越えてしまうとペットショップの犬猫たちは売れ難くなっていく。結局、1歳になるまで飼い主に迎えに来てもらえることのなかった彼らの行方を、その猫は知らない。
 
 
 
相変わらず、五月蝿い。
 
 
 
若い女3人組の中の2人が、きゃぴきゃぴしながら僕の前のガラスを叩く。
 
僕は絶対に反応したりしない。媚を売って、ここから早く出してもらおうだなんて、微塵も思っていないんだから。
 
 
 
3人のうちの1人は、浮かない顔をしながらこちらをじっと見つめている。そうか、あんたも、心が渇いてるのか。
 
 
 
相変わらず、飲み水が生温い。
水道水ってのは本当に不味いな。カルキくらい抜いてくれよ。
 
 
 
相変わらず、トイレの砂が少ない。
 
 
 
相変わらず、上の階にいるミニチュアダックスフンドが走り回っていて、落ち着かない。
 
 
相変わらず、狭いな、この部屋は。加えてこの温かみのないプラスチックケースにうんざりする。
 
 
 
 
なんだかさっきから周りが騒がしいな。
 
 
 
 
ガチャっという音と共に、僕の毛並みはひんや
りとした風に吹かれた。
 
 
先程の女3人組の中の浮かない顔をしてこちらを見ていた女がそこにはいた。
 
 
 
キャリーケースの暗闇の中に閉じ込められた。
 
 
 
はあ、そうか、そういうことか。
 
 
 
もう、寂しい思いをしなくていいみたいだ。
 
 
 
僕は急に嬉しい気分になった。
 
 
 
これから僕が過ごす家はどんな家だろうか。
 
 
 
家族構成はどうだろう。
 
 
 
トイレの砂は多めに入れてくれるかな。
 
 
 
ドライフードもいいけど、たまにはウエットフードをくれるといいな。
 
 
寒い時は、人間の布団に潜り込んで寝るんだ。
 
 
 
僕は他の犬猫のように、通りすがりの人間達に媚を売ることはできなかったけど、本当は、誰かに買ってもらいたくてたまらなかったんだ。早くここから出たくて、たまらなかったんだ。
 
 
 
 
いつの間にか、僕の目からは1粒の雫がこぼれ落ちていた。